お中元やお歳暮等にうなぎを贈るのは近年では当たり前のこと。
しかし、いつの時代からうなぎを贈るようになったのでしょうか?
江戸時代
うなぎを贈り物として贈る風習は、江戸時代(1603年 – 1868年)にさかのぼるとされています。
この習慣の起源にはいくつかの説がありますが、その一つに、江戸時代において夏の土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が広まったことが挙げられます。
この風習は、当時の有名な学者である平賀源内がうなぎ屋と相談して始めたという逸話が残っています。
平賀源内は、うなぎの売上げが伸び悩んでいたうなぎ屋の商売繁盛のために、「今日は土用の丑の日」という貼り紙を提案しました。
このマーケティング戦略が功を奏し、うなぎを食べる習慣が広まったと言われています。
これが土用の丑の日にうなぎを食べる風習の始まりであり、その風習が贈り物としてうなぎを送る文化につながったと考えられます。
時代が下るにつれて、うなぎは夏バテ防止や栄養価が高いことから、暑い時期に栄養をつけるための贈り物としても人気を博するようになりました。
特に贈答用として特別な包装がされたり、高級なうなぎの蒲焼が贈られるようになったのもこの頃です。
うなぎを食べるようになった時代
うなぎが食されるようになったのは非常に古く、日本では古墳時代(3世紀から7世紀)にまで遡ることができます。
この時代の遺跡からはうなぎの骨が発見されており、古代人がうなぎを食用にしていたことが示されています。
さらに、『日本書紀』や『万葉集』などの古文書にもうなぎを食べたという記録が残されています。
これらの文献によると、古代日本では貴族の間でうなぎが珍重されていたことが伺えます。
特に、宮中の料理としても用いられていたようです。
うなぎが広く一般に普及したのは、江戸時代に入ってからです。
この時代になると、うなぎの養殖技術が発展し、多くの人々が手軽にうなぎを食べられるようになりました。
江戸(現在の東京)を中心に、うなぎ料理が庶民の間でも人気を集めるようになったのです。
お中元やお歳暮にうなぎを贈るのが主流になった時代
お中元やお歳暮としてうなぎを贈る習慣が主流になったのは、主に戦後の高度経済成長期(1950年代後半から1970年代)になります。
この時期、日本経済が急速に成長し、人々の生活水準が向上したことで、贈答文化も変化しました。
戦後の復興期を経て経済が安定し始めると、より質の高い贈り物を選ぶようになり、高級食材であるうなぎがお中元やお歳暮の贈り物として選ばれることが多くなりました。
またうなぎは栄養価が高く疲労回復にも良いとされているため、夏の暑い時期に元気を取り戻すための贈り物として、また冬の寒い時期に体を温める食材として、それぞれの季節の挨拶として贈られるようになったのです。
この風習は現在に至るまで続いており、特に土用の丑の日に合わせてうなぎを贈ることが一般的ですが、お中元やお歳暮としても人気の高い選択肢となっています。